PDSにおける一般的な建築の設計・監理業務は以下の順序によって行なわれます
1)調査研究・企画業務
2)設計業務
3)工事監理業務
1)調査研究・企画業務について
- 設計対象となる建築物に適応する敷地を選定するために必用な各種条件に関する調査研究・企画の業務を行います。
(1)敷地の適応条件に関わる調査研究
(2)各種法令上の制約条件に関わる調査研究(地域・地区指定等)
(3)自然的環境条件に関わる調査研究(土質・風向・日照等)
(4)社会的環境条件に関わる調査研究(交通・人口等)
(5)建築物の配置計画上の条件に関わる調査研究
(6)施工上の技術的条件に関わる調査研究(工法等)
(7)その他
- 設計対象となる建築物の計画諸元(用途、規模、建築形式等の設計上の基本的条件)を確定するために必用な各種の基礎的条件に関する調査研究・企画等の業務を行います。
(1)各種法令上の制約条件に関わる調査研究
(2)敷地の立地条件に関わる調査研究
(3)経営採算上の条件に関わる調査研究
(4)自然的環境条件に関わる調査研究
(5)社会的環境条件に関わる調査研究
(6)建築物の配置計画上の条件に関わる調査研究
(7)施工上の技術的条件に関わる調査研究
(8)その他(測量、実測、建築物の鑑定等)
- 設計対象となる建築物が要する工事費予算を確定するために必用な業務を行います。
(1)概略設計による工事費の概算
(2)経営採算上の条件に関する調査研究
(3)工事費の事例に関する調査研究
(4)その他
- 設計対象となる建築物が周辺環境に及ぼす影響を事前に把握する業務を行います。
(1)環境アセスメント
(2)その他
2)設計業務について
- 設計業務とは、建築主の意図する企画の実施が決定された後、その機能と効用を実現するために行われる基本設計業務及び実施設計業務をいい、その具体的内容は以下の通りです。
■ 基本設計業務
- 基本設計とは、建築主の意図するものを組織立て、建築の価値と効用を実現するための基本計画をたてる業務の段階で、次の業務が含まれます。
(1)建築計画の立案
建築主の企画の実現について建築主と充分打合せを行ない、必要に応じて関係官庁や専門技術者と協議して法律的、技術的な調査を行ない、建築計画について研究を重ねた上で、建築物の配置計画、平面などの案を作成します。
(2)基本設計図の作成
配置図、平面図、立面図、断面図など計画と意匠を示す図面を作成します。
(3)工事費概算書の作成
これらの基本設計図書が建築主の要求に合致したものとして承認された後、実施設計に着手します。
■ 実施設計業務
- 実施設計とは、前記の基本設計図書に基いて詳細な設計を進め、工事の実施に必用であり、また工事施工者が工事費内訳明細書を作るために必用で十分な設計図書を作成する業務の段階で、次の業務が含まれます。
(1)実施設計図の作成
・配置図及び屋外施設設計図
・平面図、立面図、断面図、詳細図等の一般設計図
・構造設計図及び構造計算書
・給排水、空気調和、換気、電気、ガス、その他の建築設備の設計図
(2)仕様書の作成
(3)工事費予算書(概算書に基づく実行予算書)の作成
(4)建築基準法に基づく確認申請手続への協力
3)工事監理業務について
- 工事監理業務とは建築士法による工事監理及び、適正な工事契約の締結に協力し、建築家の設計意図を実現させ、工事の施工が契約に合致するように、公正な立場に立って工事施工者を指導することであり、次の業務が含まれます。
(1)工事契約に関する協力
工事施工者の選定、契約方式の決定及び契約書案の作成に協力し、工事施工者の提出した工事費内訳明細書の内容を調査し、それらについて意見を述べ、建築主と工事施工者との契約書に建築家として調印します。
(2)重要な部分の詳細図の作成
設計の意図を明確に示すために必要に応じて詳細図を作成します。
(3)施工図等の検査及び承認
工事施工者から提出される施工図または模型並びに材料及び仕上げの見本、設備される機械、器具を検査し、契約書及び設計図書に合致するものにつきその採用を承認します。
(4)工事の指導
工事計画、工程などの検討を行ない、工事が契約書及び設計図書に合致するように工事施工者を指導し、その結果を確認し、必要に応じて建築主に報告及び進言します。
(5)現場監督員(現場常駐監理員)の指揮
工事の性質、規模などによって建築家が必要と認めたときは、建築主と協議して現場監督員(現場常駐監理員)を配置します。現場監督員(現場常駐監理員)は建築家の指揮に従い、工事が契約書、設計図書及びそれに基づく建築家の指示の通りに実施されているか否かを確認します。現場監督員(現場常駐監理員)を配置するために要する費用については「業務報酬の4の3」をご参照下さい。
(6)変更工事の処理
建築主と建築家が設計変更につき同意したときは、建築家は設計変更図書を作成し、契約金額に変更のあるときには工事施工者の見積を審査して建築主の承認を受ける事とします。
(7)中間及び最終支払の承認
工事施工者から提出される工事費中間支払の請求書を審査承認します。また最終支払の請求書に対しては、工事完成検査を行ない、合格したときにこれを承認します。
■ 設計監理業務の完了
- 建築家は、工事が完成して契約条件が遂行されたことを確認したうえ、契約の目的物の引渡しに立会い、業務完了通知書に関係図書を添えて建築主に提出して、その設計監理業務を完了することとします。
PDSにおける一般的な建築の設計・監理業務の業務報酬に関して
1.調査研究・企画業務に対する報酬は、2)の報酬加算実費式によって算出します。
2.設計監理業務に対する報酬は、料率による算出方法を原則とします。但しそれが不適
当な場合には、2)の報酬加算実費式によって算出します。
1)料率による算出方法
- 1棟の工事費総額に別表の料率を乗じて算出した額を報酬の最低基準とし、建築主と建築家が協議して次の何れかの方法により契約することとします。
(1)建築家が作成し建築主の承認を受けた工事費予算額を工事費として、これに対する料率を乗
じて設計監理報酬を算出します。
(2)工事の実施金額を工事費として、これに対する料率を乗じて設計監理報酬を算出し、工事完
成後精算することとします。但し工事の実施金額が適正でないと認められる場合には、建
築家が作成し建築主の承認を受けた工事費予算額を実施金額として採用します。
- 増築及び改築工事に対する業務報酬は、増築の時は20%、改築の時は40%を夫々増額します。
- 大量生産による組立家屋、家具、設備器具等で、同一設計による製品が多数製造販売される時の著作権料は、1個に付きその生産販売価格の5%とします。
2)報酬加算実費式による算出方法
- 業務の性質によって料率により算出することが不適当の場合は、報酬加算実費式によって算出し、実費にその25%以上の報酬を加えたものを報酬の標準とします。その実費とは人件費と諸経費の合計とします。人件費はその業務を実施するに要した技術者の給与の総額であり、諸経費は給与以外の経費であって、人件費の100%を標準とします。
3)設計監理報酬の他に建築家が受ける費用
- 次の各号の場合には、これに要する費用は設計監理報酬には含まれていないものであって、建築主の負担とします。
(1)建築主または工事施工者の責任に基づく原因により、または自然の災害によって建築家の業
務が追加されたとき。
(2)建築家及びその補助者が業務に関して出張するとき(交通費、宿泊費等の実費の他日当)。
(3)現場監督員をおくとき(その費用は人件費・諸経費および現場事務費を含む)。
(4)建築が完成して建築主に提供する設計図書は5通以とし、それを超過して作成することを要
求されたとき。
(5)計画の全体またはその一部の縮尺模型、あるいは普通建築家が自発的に提供する程度以上の
透視図または説明図書を要求されたとき。
(6)資材数量調書または工事費内訳明細書の提出を要求されたとき。
(7)建築資金の補助または融資の申請に必要な書類の作成を要求されたとき。
(8)特殊な建築で、特別な実験計測を必要とするとき。
(9)都市計画法、建築基準法その他の法令にもとづく申請代理業務。
(10)都市計画法による開発許可申請その他の法令に基づく申請に関する業務。
(11)日照権等環境問題に付き計画の説明、公聴会、仲裁等の手続き、またはそれらへの出席に
当たり、専門的技術の提供および必要な図書類の作成業務。
(12)建築審査会、構造審査会等への提出資料作成およびこれらの審査等に関連する業務。
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